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持病があっても入れる医療保険とは?引受基準緩和型医療保険の選び方・入り方

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公開日:2022年12月1日

最近、入院や手術をして医療保険の必要性を痛感したものの、すぐには保険に加入できないとあきらめている方や、持病のある方の中には、テレビCMや新聞広告などの「持病があっても入れる保険」というフレーズが気になっている方がいらっしゃるのではないでしょうか。

今回は、持病や既往症があっても入れる可能性がある「引受基準緩和型医療保険」とはどんなものか、また、選び方や、加入の際に気を付けることなどを解説します。

引受基準緩和型医療保険とは?

持病や既往症があっても入りやすいといわれる「引受基準緩和型医療保険」とは、どんな保険なのでしょうか。その前に、まずは告知制度を理解しましょう。

保険の告知はなぜ必要?

そもそも保険とは、加入者の支払う保険料をもとに、相互扶助の理念によって成り立っているものです。保険の申込者を引き受けるかどうかは各保険会社が判断することになっており、その判断基準の一つが、「告知書」です。

告知書には、被保険者の職業や抱えている病気の有無などを問う告知事項が記載されています。契約者や被保険者は、保険会社が示した告知事項について、ありのままを正しく答える必要があります。これを「告知義務」といいます。告知制度によって、保険会社が保険加入者の選択をして、保険制度を公平に保つことができているのです。

通常の医療保険の告知事項は?

告知事項は、保険会社や保険の種類によって異なりますが、「はい」または「いいえ」で答える質問応答形式になっています。また、必要に応じて、診察を受けている病気の名称や治療期間、投薬の種類などについて記述で答える項目がある場合もあります。

通常の医療保険の告知事項は7~10個程度ですが、女性の場合は妊娠の有無や出産時の異常の有無を追加で問われる場合もあります。また、がんを保障する特約や、特定疾病を保障する特約などを付帯する場合には、告知事項がさらに増えるのが一般的です。告知の内容によっては、保険料が割増になったり、特定の部位(疾病)を保障対象外とする「部位(疾病)不担保」が保険加入の条件になったりする場合もあります。

なお、保険に加入する際には、これらの告知事項に対してのみ告知義務が発生するため、告知事項以外については保険会社に報告する必要はありません。また、告知事項の条件をクリアしていても職業や過去の契約状況等により加入できない場合もあります。

引受基準緩和型医療保険とは?

引受基準緩和型医療保険は、下記のように告知事項の数が3個程度と少なくなっています。これらが全て「いいえ」だったら保険に加入できる可能性があります。

【引受基準緩和型医療保険の告知事項の例】
  1. 1過去5年以内に、がん(上皮内新生物を除く)、肝疾患、精神疾患、腎疾患で入院または手術を受けたことはありますか
  2. 2最近3か月以内に医師の診察または検査により入院、または手術をすすめられたことがありますか
  3. 3過去2年以内に1.以外の病気やケガで入院または手術を受けたことがありますか

このように引受基準緩和型医療保険の告知内容は比較的シンプルで数も少ないですし、過去の病気や手術等からの経過期間も短くなっているなど、通常の医療保険より加入条件が緩和されています。なお、通常の保険と同様、特約を付帯する場合には告知事項も1~3個程度増えるのが一般的です。

引受基準緩和型医療保険はどんな人に向いている?

引受基準緩和型医療保険はどんな人に向いているのでしょうか。メリット・デメリットを確認した上で考えてみましょう。

引受基準緩和型医療保険のメリット

一般的には、貯蓄が十分にあれば、医療保険に入らなくても入院や手術などの費用を支払うことは可能です。しかし、貯蓄が少なくて不安な方もいらっしゃいますし、教育費や住宅ローンなど他にもお金がかかる時期なので、医療保険で備えておきたいという場合もあるでしょう。持病や既往症で通常の医療保険に入れない方にとって、引受緩和型なら、持病があっても保険に入れるというのは大きなメリットでしょう。

入院や手術などで治療費がかさみ高額になった場合には、1か月の自己負担額が軽減される公的な「高額療養費制度」があります。しかし、高額療養費制度を使っても、自己負担限度額までは医療費の負担は発生しますし、差額ベッド代や先進医療の保険診療にあたらない部分の費用などは、高額療養費制度の対象外です。公的な制度や貯蓄だけで医療費を賄えるかどうか不安な方は、引受基準緩和型医療保険を検討しても良いでしょう。

引受基準緩和型医療保険のデメリット

一方で、引受基準緩和型医療保険は通常の医療保険と比べて保険料が高いというデメリットもあります。持病のある方や最近病気をしたばかりの方は、保険給付金の支払い対象となる可能性が高いと考えられているためです。

また、引受基準緩和型医療保険の中には、もらえる給付金が一定期間削減してしまう商品もあります。給付金が削減される期間は1年程度というのが一般的ですが、削減される期間が無く、契約直後から満額の給付金が出る商品もありますので、比較検討してみましょう。

引受基準緩和型医療保険はどんな人に向いている?

引受基準緩和型医療保険では、持病や既往症の悪化や再発でも給付金を受け取ることができますので、不安な方は、引受基準緩和型医療保険で備えると良いでしょう。

持病を部位(疾病)不担保として通常の医療保険に加入できれば、保険料は安く済むかもしれませんが、この場合は持病が悪化しても給付金を受け取ることが出来ません。

つまり、通常の医療保険よりも割高な保険料を払ってでも、持病や既往症も含めて保険で備えたいという方には、引受基準緩和型医療保険は向いているといえます。

引受基準緩和型医療保険の選び方・入り方

引受基準緩和型医療保険に加入する場合、どのように選べば良いのか、また入る時の注意点も確認してみましょう。

引受基準緩和型医療保険の選び方

引受基準緩和型医療保険に加入を検討する場合、まず保障内容をよく確認しましょう。1日あたりの入院給付金や、どのような特約を付けるのかで保険料も異なります。引受基準緩和型医療保険に付帯できる代表的な特約には、先進医療特約、通院特約、がん特約、保険料払込免除特約などがあります。保険料との兼ね合いもありますが、自分に必要な保障は何かを踏まえて複数の保険会社で比較検討すると良いでしょう。保険料はどのくらいの負担になるのか、保障は十分かなどを検討し、総合的に選ぶようにしましょう。

迷う場合は、まず通常の医療保険で申し込みを

引受基準緩和型医療保険に入るかどうか迷う場合は、まずは通常の医療保険で申し込みをしても良いでしょう。告知内容によっては、通常の医療保険に割増の保険料や部位(疾病)不担保などの条件付きで加入できるかもしれません。不担保となった部位(疾病)は保険で保障されず、給付金をもらえませんが、一定期間経過後は不担保の条件が外れ通常の保障内容になる場合もあります。部位(疾病)不担保となる期間は保険会社や告知内容によって基準が異なり、ずっと部位(疾病)不担保のままの可能性もあります。加入の前には割増保険料や不担保の条件などをよく確認するようにしましょう。

【通常の医療保険と引受基準緩和型医療保険の比較】
通常の医療保険 引受基準緩和型医療保険
告知事項の数 7~10個程度 3個程度
持病や既往症の保障 保障する 部位(疾病)不担保の条件が付くと保障されない
給付金の支払い 契約時から満額 一定期間、給付金が半額程度に削減され、その後満額となる商品もある
保険料 通常の医療保険より高い
(筆者作成)

引受基準緩和型医療保険の入り方

一般の医療保険に加入できない場合や、割増保険料や部位(疾病)不担保などの条件が付く場合は、引受基準緩和型医療保険への加入を検討しても良いでしょう。

引受基準緩和型医療保険に加入したい場合、保障内容も大切ですが、加入できるかどうかも気になるところです。引受基準緩和型医療保険の告知で指定される病名や経過期間は保険会社によって異なります。複数の保険会社で告知内容を比較し、ご自身の病歴や経過期間で加入できそうなところを選ぶというのも一つの方法です。引受基準緩和型医療保険の内容やメリット・デメリットを踏まえた上で、加入するようにしましょう。

  • この記事の情報は2022年7月10日時点のものです。
プロフィール

ファイナンシャルプランナー(CFP®)。一級ファイナンシャル・プランニング技能士。

福島佳奈美(ふくしまかなみ)

将来のお金の不安をなくすためには、長期的なライフプランを立てて将来のマネープランを作ることと、日々の家計管理が必要だと実感。保険、住宅ローン、教育費、老後資金準備など、「誰からも教わらなかったけれど生活するうえで必要なお金の知識」を、マネーコラム執筆やセミナー講師、個人相談などを通じて伝えている。

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