20代・30代の女性に必要な生命保険は?必要性と選び方の徹底解説!
公開日:2024年5月27日
生命保険にはさまざまな種類があり、どのような保険を選べばよいか迷う人も多いようです。保険の必要性や検討すべき保険の種類は、世代や性別、ライフスタイルなどによっても異なります。20代・30代など比較的若い女性に、保険は必要なのでしょうか?また、どのような保険を検討するとよいのでしょうか。
約6割の女性は何らかの保険に加入
一般的にどの程度の人が生命保険に加入しているのか、調査結果を参考にみてみましょう。全国の2人以上の世帯を対象とした調査ですが、世帯主の性別や年齢別の保険加入率をみると、女性全体では約6割、20代・30代男女では6~8割の人が何らかの保険に加入しているという結果です。
<図表Ⅰ 女性の生命保険加入率※>
出所:生命保険文化センター 「2022(令和4)年度 生活保障に関する調査」
※対象の生命保険は、民間生保、かんぽ生命、簡保、JA、県民共済・生協等の商品を含み、個人年金保険も含みます。
若い世代の保険離れが話題に上がりますが、この結果を見ると、若い世代も比較的高い加入率となっています。
リスク別にみた保険の種類
長い人生においては、健康や身体上の理由から、表Ⅱのような経済的なリスクが発生する可能性があります。それらは公的年金制度や公的制度、または貯蓄などでカバーしますが、それだけでは足りないケースや、貯蓄が十分に準備できていない場合には、民間保険の活用が有効です。なお、リスクの種類によって、発生確率が高まる時期やリスクが大きくなる時期が異なるため、それらに備える保険も年齢やライフステージの変化によって見直す必要があります。
※会社員や公務員など被用者のみ給付。自営業者などの場合は受け取れない
20代・30代の女性が考えたい保険~3つのライフスタイル別
必要な保険、検討したい保険は、経済的に守るべき家族がいるかどうか、またはいざという時に頼れる家族がいるかどうかによっても変わります。そこで家族構成やライフスタイルに注目した保険選びをご紹介します。
シングル世帯
・死亡保険
自分にもしものことがあっても、経済的に守るべき家族がいなければ、遺族のためのです。もしも、仕送りなどで親の家計を支援するなどしている場合は、「90歳―親の年齢」を保険期間の目安に定期死亡保険を検討してみましょう。また、葬儀費用や死後の整理費用については、貯蓄でカバーするか、または貯蓄で足りなければ死亡保険を検討してみるのもよいでしょう。
・就業不能保険(働けない時の収入を保障する保険)
自分自身の労働収入だけで生計を維持しているシングルにとっては、働けない時の収入減は大きなリスクです。特に、住宅ローンのある人は、就業不能を保障する団体信用生命保険(以下、団信)でない限りは、収入が減ってもローン返済が続くことも考慮しておかなければなりません。
貯蓄などでカバーできる人は不要ですが、そうでなければ働けない時の収入減をカバーする就業不能保険や、三大疾病や一定の障害状態や介護状態も保障する収入保障保険を検討すると良いでしょう。その場合、死亡保障のないタイプなら保険料を安く抑えることができます。
特に、傷病手当金などの公的保障が少ないフリーランスや自営業の人は、しっかり備えておきましょう。
・医療保険・がん保険などの疾病保障保険
20代・30代は、仕事を始めたり、生活環境が大きく変わるこの時期は、ストレスがかかりやすく、ホルモンバランスを崩しやすい時期です。そのため、全身の代謝をつかさどる甲状腺ホルモンを過剰に分泌するバセドウ病も、この世代の女性に多い病気です。また、子宮筋腫や子宮内膜症、卵巣のう腫など、女性特有の病気に罹患する人が多く、さらに子宮がんや乳がんの罹患率も高まります。
このような理由から、医療保険やがん保険を検討すると良いでしょう。医療保険では、女性がかかりやすい疾病を手厚く保障する「女性向け保険」も合わせて検討しましょう。
夫婦2人/DINKS世帯
・死亡保険
もしもの時に、遺された夫や親が経済的に困らなければ、死亡保険は不要です。
ただし、2人分の収入を見込んで、多額の住宅ローンを組んだ場合は注意が必要です。団信付きのローンを2人で組んでおけば、妻に万一のことがあれば妻のローンの返済分はなくなりますが、夫1人でローンを組んだ場合は、夫1人の収入で返済が可能かどうかも考えておく必要があります。そのような場合は、住宅ローンの返済期間を保険期間の目安として、死亡保険で備えると安心です。
・就業不能保険(働けない時の収入を保障する保険)
働けなくなった時の収入減も同様です。夫の収入だけで、生活を維持できるのであれば、不要と言えます。ただし、妻に住宅ローンがある世帯は、就業不能を保障する団信でなければ、妻が働けない時もローン返済が続きます。そのような時の経済的なリスクをしっかりイメージして、就業不能保険や保障範囲の広い収入保障保険を検討しましょう。
・医療保険・がん保険などの疾病保障保険
基本的な考え方はシングルと同様ですが、妊娠・出産を考える場合はそのリスクも高まりますので、女性向けの医療保険を検討するとよいでしょう。女性特有の疾病に手厚いだけでなく、全てのがんや女性がかかりやすい疾病にも手厚く備えることができる商品もあります。なお、妊娠中は、健康状態によっては医療保険に加入しにくくなりますので、早めに検討しておくことをお勧めします。
子どもあり世帯
・死亡保険
自分にもしものことがあった時でも、子どもの養育費や教育資金が、夫だけの収入で安心できるかどうかで、自分の死亡保険の必要性を検討しましょう。
住宅ローンがある世帯については、「夫婦2人/DINKS世帯」と同様です。子どもがいると荷物が増えていたり、転校は避けたいなど、賃貸でも簡単に引っ越すことが難しくなり、それまでと同等の家賃負担が続く可能性があります。さらに、夫1人で子どもを育てる場合には、延長保育や学童、子育てヘルパーなどで支出が増える可能性もあります。それでも、家計は大丈夫かどうかをシミュレーションして、足りないと思えば死亡保険で備えましょう。
・就業不能保険(働けない時の収入を保障する保険)
「夫婦2人/DINKS世帯」と同じですが、働けない時は収入減だけでなく、健康状態によっては家事代行やヘルパー費用など、支出が増える可能性もあります。それらも考慮しておきましょう。
・医療保険・がん保険などの疾病保障保険
基本的には、「シングル世帯」や「夫婦2人/DINKS世帯」の同様です。ただし、帝王切開をして5年以内など手術歴がある人は、健康な人と同じ条件では医療保険に加入できない場合があります。その場合は、一定期間は子宮などの特定の部位や疾病を保障されない「部位不担保」「疾病不担保」という契約で加入することになります。
このように同性代の女性でも、保険選びのポイントが変わってきます。ご自身のライフスタイルや状況に合わせて検討することをお勧めします。
- ※この記事の情報は2023年5月時点
ファイナンシャル・プランナー(CFP®)
田辺 南香(たなべ みか)
大学卒業後リクルートに入社。社内ITコンサルタントからFPへ転身。心豊かな生活を実現するお金のコンシェルジュとして保険、住宅取得、老後資金等などのマネープランに関するアドバイス、執筆、セミナー講師などを中心に活動中。主な著書に、「未来家計簿で簡単チェック!40代から間に合うマネープラン」(日本経済新聞出版社)などがある。株式会社プラチナ・コンシェルジュ 代表取締役