20代・30代の男性に必要な生命保険は?必要性と選び方の徹底解説!
公開日:2024年5月29日
20代・30代は、結婚や子育て、住宅購入といったライフイベントを迎えることもあります。「まだ生命保険は必要ない」「どの生命保険を選べばよいかわからない」という人もいることでしょう。今回は、20代・30代の男性を対象に、ライフスタイル別に検討するとよい生命保険とその選び方について解説します。
生命保険は何のために入る?
私たちは、死亡や病気、ケガなどが原因で生活が立ち行かなくなることや、思い描いていた生活が実現できなくなることがあります。このような予期せぬ事態に経済的に備えておく手段が生命保険ですが、20代・30代の男性にとって優先度の高い代表的な保険の種類は次のとおりです。
保険の種類 | 目的 |
死亡保険(定期保険や収入保障保険など) | 遺された家族の生活費や葬儀費用などに備える |
医療保険 | 病気やケガで入院したり手術を受けたりした時の治療費に備える |
がん保険 | がんによる入院・通院・手術などの治療費に備える |
では、20代・30代の男性のうち、どのくらいの人が生命保険に入っているのでしょうか。生命保険文化センターが実施した「2022(令和4)年度 生活保障に関する調査」によると、20代なら約2人に1人、30代なら約5人に4人が何らかの生命保険に入っています(図表Ⅰ)。
<図表Ⅰ>
出典:生命保険文化センター「2022(令和4)年度 生活保障に関する調査」
※生命保険加入率とは、民間の生命保険会社や郵便局、JA(農協)、県民共済・生協等で取り扱っている生命保険や生命共済(個人年金保険やグループ保険、財形は除く)の加入率(被保険者となっている割合)のこと
社会保険があっても生命保険が必要な理由
日本では国民皆保険・皆年金が採用されています。そのため、20代・30代の男性は、病院でかかる医療費は公的医療保険の対象であれば基本的に3割の自己負担で済みます。ひと月あたりの自己負担額が一定の金額を超えた場合は、高額療養費制度を利用することで超過した金額を払い戻してもらえます。しかし、公的医療保険が適用されない自由診療や先進医療を受けた場合や長期にわたり入院するような場合は、医療費が高額になることもあります。
職業によって気をつけたいこともあります。会社員・公務員なら入院や自宅療養が長引いても傷病手当金がありますが、自営業者のように国民健康保険に加入している人は、傷病手当金がないので自助努力による準備がより必要になります。
また、万が一の時には、要件を満たせば遺族年金や障害年金を受け取れる公的年金制度にも加入していますが、それだけでは不十分なこともあります。特に、自営業者が受給できるのは、遺族基礎年金と障害基礎年金のみなため、万が一への備えは十分にしておきたいものです。
このような理由から、社会保険に加入しているとはいえ、生命保険に加入しておくと安心です。
【ライフスタイル別】20代・30代の男性におすすめの生命保険
生命保険の加入を検討する時は、「もし自分が病気や怪我をしたり亡くなったりしたら、誰がどれだけ、どのように困るのか」を想像すると、自分に必要な保険を見つけやすくなります。一般的に、生命保険の必要性が高いのは次のような人といえます。
- 経済面で不安がある人
- 貯蓄が少ない人
- 妻よりも収入が高い人
- 子どもがいる人
- 自営業の人
ここでは、生命保険の選び方をライフスタイル別に解説します。
独身の場合
独身の人は、まず「病気やケガで入院・手術をして医療費がかかったときに、医療費を払っても十分な貯蓄が残るのか、仕事を休んで収入減となっても生活していけるのか」を考えましょう。医療費を負担したり収入減となったりしても経済的に困らない人は、保険を用意する必要性は低いといえます。しかし、そうでないなら、医療費や収入減に対しては「医療保険」で準備しておくことをおすすめします。
がんに対して不安がある人は、がん保険も検討するとよいでしょう。がん治療は入院や手術だけでなく、通院して行う抗がん剤治療や放射線治療などがあり、治療期間が長引くこともあります。外来で治療を受けながら仕事を続ける場合、副作用の程度によっては、勤務時間を短縮したり仕事を休んだりすることで収入が減ることもあるからです。
もし、両親を経済的に支援しているなら、両親の平均余命くらいまでは死亡保険へ加入することも検討しましょう。
既婚・夫婦のみの場合
結婚している場合は、自分自身の病気(がんを含む)やケガへの備えを検討することに加えて、「自分が亡くなった場合に遺されたパートナーは生活に困らないか」を考えましょう。夫婦共働きでお互いがフルタイムで働いている場合、遺された妻には収入があるので死亡保障額をそれほど大きくする必要ないといえます。しかし、夫婦共働きであっても、妻よりも自分の収入が高く、生活費の多くを自分の収入で賄っている場合や遺された妻が収入を得るのが難しい場合は、妻が生活に困らないだけの保障を死亡保険で確保しておきましょう。
既婚・子どもがいる場合
子どもがいる場合は、夫婦のみの場合に加えて、「自分が亡くなった場合に遺された子どもの教育費や養育費はどのくらいあれば困らないか」を考えましょう。遺族基礎年金が受け取れるのは、子どもが18歳になる年度末までです。したがって、子どもが大学に進学することを想定するなら、大学入学にかかる費用と在学費用は死亡保険で準備しておくとよいでしょう。保障額の目安は約700万円です。なぜなら、日本政策金融公庫が実施する「令和3(2021)年度 教育費負担の実態調査結果」によると、大学の入学にかかる費用は約80万円で、1年間の在学費用は約150万円となっているからです。
また、夫婦が元気なときは2人で子育てをしますが、あなたに万が一のことがあった場合は、妻が1人で子育てすることになります。それまでは必要のなかった家事代行サービスや託児にかかる費用などの支出が新たに発生することも考えられます。現在の生活が一変したときに、どのような費用が、いつまで、いくらくらい必要になる可能性があるのかを夫婦で話し合い、遺された家族が困らず生活できるだけの保障額を死亡保険で備えましょう。特に夫婦とも自営業の人は、厚生年金や傷病手当金、労災保険などがなく、会社員・公務員の人にくらべると公的な保障が薄くなっています。不足する保障は、民間の保険でしっかりと補い、安心して生活を送れるようにしましょう。
20代・30代で生命保険に入るメリット
生命保険の保険料は、契約時の年齢で決まりますが、一般的に加入年齢が若いほど保険料が安くなります。なぜなら、年齢が若いほど病気になるリスクや死亡するリスクが低いので、保険会社は支払いリスクを抑えられる分だけ保険料を安く設定できるからです。そのため、保険料が安い20代・30代から加入すると、40代以降になってから加入するよりも、払い込む保険料の総額が安くなる可能性があります。
また、生命保険に加入する際、過去の病歴や現在の健康状態を保険会社に告知しなければなりませんが、申告した内容によっては保険に加入できないこともあります。たとえ加入できたとしても、保険料が割増になることや保険金が削減されること、特定の病気は保障してもらえないことがあります。そのため、病気に罹患するリスクや死亡するリスクが少ない20代・30代のうちに、生命保険に加入しておくのも一案です。
自分に合った保険を選ぶには、まず自分にはどのようなリスクがあるのかを洗い出します。公的な保障で備えられるものは何があるのかを把握することも重要です。そして、公的な保障では賄えない部分を民間の生命保険で補うようにすれば、無駄に入りすぎることを回避できます。一生懸命考えて入った生命保険であっても、ライフスタイルが変われば必要になる保険も変わるので、人生の転機の際は必ず見直すようにしましょう。
- ※この記事の情報は2023年5月31日時点
(ファイナンシャルプランナー(CFP®)、1級FP技能士、住宅ローンアドバイザー、定年力アドバイザー、相続手続カウンセラー)
中山弘恵(なかやまひろえ)
生活に関わるお金や制度をテーマにした講師業務、執筆業務、個別相談業務に従事。「わかりやすく丁寧なセミナー」「ストレスなく読み進められるわかりやすい文章」「安心しながら気軽に話せる相談相手」として定評がある。