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三大疾病でのリハビリに注目!三大疾病とリハビリの関係を踏まえた保険の選び方は?

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公開日:2024年7月10日

がん、脳卒中(脳血管疾患)、急性心筋梗塞(心疾患)の三大疾病にかかってしまった場合、手術や投薬など、様々な治療が行われますが、早期回復や社会復帰を目指すためには、リハビリテーション医療(リハビリ)も重要だといわれています。この記事では、三大疾病におけるリハビリの情報と、リハビリに必要なお金、民間の保険で備える場合のポイントについてお伝えします。

三大疾病でリハビリの果たす役割は機能回復から生活の質向上まで!

リハビリというと、「身体的機能を回復させるために行うもの」というイメージを持つ方が多いと思われますが、実はリハビリの果たす役割はそれだけではありません。

「がん」でのリハビリの役割 

がんにかかると、がんが体力の低下や身体の機能障害を引き起こすだけでなく、手術・化学療法・放射線療法等によって合併症を起こしたりすることも考えられます。 

国立がん研究センターがん情報サービスのホームページでは「診断された直後から始める「予防的リハビリテーション」、治療と並行して受ける「回復的リハビリテーション」、再発/転移の時期には「維持的リハビリテーション」、症状緩和を中心とした医療が行われるときには「緩和的リハビリテーション」と、がんの治療の時期に応じて、リハビリテーション医療の目的や役割が異なります」と紹介されているように、がんのリハビリ医療は予防から緩和ケアまで幅広く行われているそうです。 

また、平成22年度診療報酬改定で、公的医療保険に「がん患者リハビリテーション料」が設けられたことからも、がんのリハビリが広がっていることがわかります。

脳卒中のリハビリの役割 

厚生労働省の「事業場における治療と仕事の両立支援のためのガイドライン」によると、脳卒中の経過は主に下記の3つの段階に分けられ、リハビリは発症直後の急性期の段階から実施され、回復期では歩行など日常生活動作の確立、生活期または維持期では、獲得した機能を長期に維持するために行われるということです。

<脳卒中の主な経過>
①【急性期】発症直後の治療の段階(発症からおよそ12か月以内)
②【回復期】機能回復のためにリハビリテーションを受ける段階(発症からおよそ36か月以内)
③【生活期または維持期】日常生活に戻る段階(発症からおよそ6か月以降)

脳卒中では、脳の疾患により身体の様々なところに影響が出て、これまで通りの生活が難しくなる場合が多く、リハビリは欠かせない治療と言えるでしょう。

心疾患のリハビリテーション 

心疾患でも、心臓機能や体力の回復にリハビリが効果的だといわれています。日本リハビリテーション医学会のホームページに、「心疾患のリハビリテーション治療の発展は心筋梗塞を中心に進んできました。そのために、当初は心疾患治療や長期臥床に伴う運動耐容能低下に対する早期離床や機能回復訓練が中心でした。しかしその後、患者さんの生活の質(QOL)や長期予後の改善、あるいは循環器病の発症予防までを含めて、より多面的・包括的に考えられるようになりました」とあるように、心疾患のリハビリも広範囲にわたって重要な役割を担っているといえます。

三大疾病でのリハビリが果たす役割 

このように三大疾病の各治療段階において、リハビリは重要な役割を担っています。身体の機能を回復し日常生活が行えるように、勤労や社会復帰ができるように、そして病気の再発防止ということがリハビリの主な目的となるのでしょう。

入院リハビリの約半数が三大疾病関連!

三大疾病でリハビリ治療を受ける場合の、入院リハビリの疾患別割合について見てみましょう。

    入院リハビリ治療における三大疾病の割合は 

    入院中のリハビリテーションのうち、三大疾病関連のリハビリが占める割合はどのくらいなのでしょうか。厚生労働省が発表している第7NDBオープンデータ(令和2年度診療分)を見てみると、脳血管疾患が44%、がんと心大血管障害がそれぞれ2%で合計48%になります。つまり、入院中のリハビリ治療の半分近くが、三大疾病に関係していることがわかります。

    【疾患別リハビリテーション料の算定回数(入院中)】


    020-1

    (出典:厚生労働省第7回NDBオープンデータ医科診療行為)

    三大疾病でのリハビリ期間は長期にわたることもある

    がん治療でのリハビリは診断直後から始まる場合もありますし、治療中はもちろん、緩和的ケアでも取り入れられていますので、がん治療とリハビリは同時進行で進むともいえるでしょう。よってリハビリの期間も長期にわたることがあります。

    また、脳血管疾患や心疾患のリハビリは、運動機能回復を中心に、なるべく日常生活を問題なく送ることができるよう、長期間になると考えられます。

    公的医療保険でのリハビリ治療には期間の制限がある 

    医師の指示のもと、公的医療保険で行うリハビリの自己負担額は1割~3割で済みますが、病気やケガの種類によって公的医療保険でリハビリテーションが受けられる期間には制限があります。
    脳血管疾患等リハビリテーションは180日、心大血管疾患リハビリテーションは150日、がん患者リハビリテーションは、基本的には入院している間が対象となります(期限が切れても改善の見込みがあり医師の指示があれば制限を設けて継続できる場合もあります)。

    また、脳血管疾患の方は急性期リハビリテーションの後、「回復期リハビリテーション病棟」で集中的にリハビリを行う場合があり、脳血管疾患では150日間の入院が可能だということです。



    リハビリ治療に民間保険で備える場合のポイント3

    三大疾病ではリハビリ治療が重要であることから、民間の保険を選ぶ際には、リハビリの費用も考慮して選ぶと安心です。どのような点に注意して保険を選べば良いのか確認してみましょう。

    【ポイント1】入院給付金の1入院あたりの限度日数を確認 

    入院でのリハビリ治療には、がん保険や医療保険、三大疾病(特定疾病)保険等の入院給付金で対応可能です。保険を選ぶ際は保障内容をよく確認しましょう。

    選ぶポイントは、入院給付金の限度日数です。医療保険や三大疾病(特定疾病)保険では、一般的には1入院あたりの支払限度日数があります。リハビリ治療は長期にわたる場合もあるため、1入院あたりの入院給付金の限度日数が短いと、その分しか給付金を受け取ることができませんので注意が必要です。

    長期のリハビリに備えることを重視するなら、1入院あたりの限度日数を長くできるものを選ぶと良いでしょう。日帰り入院に対応しているかどうかも確認しましょう。支払限度日数が多いほど保障は充実しているといえますが、その分保険料は高くなります。保険料とのバランスが1つの検討材料になります。

    医療保険の中には、三大疾病や七大疾病、八大疾病などの生活習慣病に関しては、入院日数を無制限で保障する特約を付けることができる商品もありますので、長期の治療、リハビリに備えるためには特約の付帯を検討しても良いでしょう。

    なお、がん保険の入院給付金は、入院日数無制限で保障される商品がほとんどですので、入院中のリハビリに関しては対応可能でしょう。

    【ポイント2】入院が伴わない場合の通院治療では通院給付金が受け取れない 

    医療保険やがん保険の通院保障は、「入院後の通院」が通院給付金の支払条件であるのが一般的ですので、入院が伴わない場合のリハビリ治療では、通院給付金が受け取れない場合があることに注意しましょう。通院保障をつけるかどうかは選択できる商品が多いので、ご自身の状況に応じて通院保障の付帯を検討すると良いでしょう。

     

    【ポイント3】一時金は公的医療保険外のリハビリや器具購入に利用できる 

    病気によってはリハビリが長期になる場合もあります。また、入院中だけでなく退院後も通院しながらリハビリを行うケースもあります。また、自費でのリハビリで対応しなければならないケースなどでは費用の負担が大きくなることも考えられます。

    このような場合に備えるためには、まとまった金額が支払われるタイプの保険も有効です。がん保険や医療保険には、がんや三大疾病と診断された場合に、数十万円から数百万円のまとまった金額の一時金が支払われる保険や、特約として付けることができる保険もあります。一時金は、リハビリを含めた様々な治療に利用できますし、新たに車いすや介護対応ベッドの購入などにも利用できますので、これらの保険に一時金特約を付けることを検討しても良いでしょう。

    三大疾病の治療も時代とともに変化していきます。新たに保険に加入するときだけでなく、加入済みの保険の保障内容も定期的に見直しすると安心です。

    • この記事の情報は2023年7月30日時点
    プロフィール

    ファイナンシャルプランナー(CFP®)。一級ファイナンシャル・プランニング技能士。

    福島佳奈美(ふくしまかなみ)

    将来のお金の不安をなくすためには、長期的なライフプランを立てて将来のマネープランを作ることと、日々の家計管理が必要だと実感。保険、住宅ローン、教育費、老後資金準備など、「誰からも教わらなかったけれど生活するうえで必要なお金の知識」を、マネーコラム執筆やセミナー講師、個人相談などを通じて伝えている。

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