複数回の入院で注意したい「医療保険のインターバル」とは?短いほど嬉しいその理由
公開日:2024年6月26日
医療保険では、退院後180日以内など一定期間内に再入院した場合は、「1回の入院」とカウントされます。このように1入院と見なされる“退院から次の入院までの期間”を「インターバル」と呼んだりします。このインターバルの長さの違いが、給付金額にどのように影響するかについて解説します。
インターバルとは1回の入院と見なされる退院から次の入院までの期間
入院給付金を入院1日あたり5千円や1万円など受け取る「日額タイプ」の医療保険では、1回の入院の期間を60日や120日など、制限を設けているのが一般的です。たとえば、連続して80日間入院した場合、120日型なら80日分の入院給付金を受け取れますが、60日型なら60日分となります。
連続入院ならわかりやすいのですが、一度退院して、再入院する場合には注意が必要です。入院給付金は支払条件に、1回の入院と見なされる退院から次の入院までの期間である「インターバル」が決められています。同じ1入院60日型でもインターバルが異なれば、受け取る給付金額も変わる可能性があるため、医療保険選びでは、このインターバルのチェックも大切です。さらに、入院の原因によっても、1入院のカウントの方法は異なります。これについては後半で解説します。
インターバルが短いほど給付金を多く受け取れる可能性が高い
まずは、インターバルの違いを具体的な例で比べてみましょう。たとえば、50日間入院して、退院後70日目に再び20日間入院し、さらに80日目に20日間入院したケースを考えてみます。
1入院60日型:インターバル180日タイプ
従来の医療保険で多いのがこのタイプです。この場合は、退院した翌日から数えて180日以内の再入院は1回目の入院と数えるため、仮に下の図のように【B入院】で20日入院しても、初回の【A入院】で50日分の入金給付金を受け取っているので、【B入院】は10日分の給付しか受け取れません。さらに【B入院】の退院から80日目に再び【C入院】をしても、これも180日以内のため1回の入院と見なされ、給付はありません。このケースはトータル90日間入院しても、60日分の入院給付金しか受け取れません。
1入院60日型:インターバル60日タイプ
このタイプなら、退院後60日を超えた時の再入院は別の入院とカウントするため、それぞれの入院の限度も60日となります。つまり、【B入院】も20日分、さらに【C入院】も20日分で、トータル90日分の入院給付金を受け取ることができます。
このように、入退院を繰り返すケースでは、インターバルは短いほど給付金を受け取れる可能性が高くなります。
入院一時金もインターバルに影響する
1回の入院につき、5万円や10万円といった「入院一時金」を受け取るタイプも、インターバルが影響します。例えば、上記の例で、入院一時金10万円という特約を付けていたとします。「インターバル180日タイプ」はA、B、Cの入院は1回の入院とカウントされるため、入院一時金も1回のみです。一方で、「インターバル60日タイプ」なら3回の入院は全て別の入院とカウントされるため、一時金を「10万円×3回=30万円」受け取ることができます。
従来の医療保険では、インターバルは180日タイプが一般的でした。最近は短くなる傾向があり、90日、60日、さらには30日など短い商品もでてきました。インターバルが短いほど、入院給付金や入院一時金を受け取れる可能性が高くなります。
入院の原因による1回の入院の数え方の違い
1回の入院とみなすかどうかは、入院の原因が影響し、その扱いは商品によって異なります。インターバル以内の入院の原因を「病気(疾病入院給付金)」と「ケガ(災害入院給付金)」で2つに分けるタイプと、入院の原因となる病気やケガが異なるか、または、それぞれの入院の原因に、医学上の関連性がなければ別の入院とカウントされる商品もあります。
例えば、前者の場合、胃腸炎(病気)と骨折(けが)はインターバル内の入院でも別の入院とカウントされますが、胃腸炎(病気)と喘息(病気)の入院は1回の入院と数えます。後者のタイプは、胃腸炎で入院してインターバル以内に喘息で入院すると、入院の原因となる病気が異なるため別の入院として扱われます。つまり、後者の方が給付の可能性は高くなります。
このように、入院のインターバルの日数と入院の原因まで給付に影響するため、契約する前にしっかりチェックしましょう。
複数回入院は慢性疾患だけではない。妊娠出産でも起こりうる
入退院を繰り返す病気としてイメージしやすいのは、喘息や気管支炎など子どもの頃に発症しやすい病気や、心不全や腎不全、心筋梗塞など比較的中・高齢期に発症しやすい病気かもしれません。しかし、若い女性でも、例えば、妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)や切迫流産などで入院し、一度は退院してから帝王切開で180日以内の再入院というケースも珍しくありません。
医療保険を選ぶ際には、1回や1日の給付金額以外にも、入院のインターバルや入院の原因の種別まで確認した上で、保険料とのバランスを比較した上で選ぶと良いでしょう。
- ※この記事の情報は2023年3月時点
ファイナンシャル・プランナー(CFP®)
田辺 南香(たなべ みか)
大学卒業後リクルートに入社。社内ITコンサルタントからFPへ転身。心豊かな生活を実現するお金のコンシェルジュとして保険、住宅取得、老後資金等などのマネープランに関するアドバイス、執筆、セミナー講師などを中心に活動中。主な著書に、「未来家計簿で簡単チェック!40代から間に合うマネープラン」(日本経済新聞出版社)などがある。株式会社プラチナ・コンシェルジュ 代表取締役