生活習慣病とは?性別、年代別の患者数と生活習慣病に備える手厚い保障内容の保険
公開日:2024年8月5日
生活習慣病は、食事や運動、飲酒、喫煙など日々の習慣に起因するさまざまな病気です。令和3年版厚生労働白書によると、生活習慣病の患者数は約1,786万人(図表Ⅲ)で、日本人の死因としても上位にあげられます。生活習慣病について性別や年代別の患者数についても紹介します。また、生活習慣病に保険で備える方法について考えてみましょう。
生活習慣病は食生活や運動習慣などに起因するさまざまな病気
生活習慣病とは、食習慣、運動習慣、休養、喫煙、飲酒などの“生活習慣”が、発症・進行に関与するさまざまな病気のことです。初期は自覚症状がないことが多く、知らない間に病気が進行してしまう危険性が指摘されています。
<図表Ⅰ 生活習慣と関連のある病気の例>
注:インスリン非依存型糖尿病は、遺伝的要因に過食や運動不足などの生活習慣が重なって発症する糖尿病
厚生労働省「e-ヘルスネット」より
そんな生活習慣病の代表例としては、がん(悪性新生物)、心疾患(狭心症や心筋梗塞などの心臓病)、脳血管疾患(脳梗塞やクモ膜下出血などの脳の疾病)が挙げられます。2021年の日本人の死因の順位をみてみると、がん(悪性新生物)1位(26.5%)、心疾患2位(14.9%)、脳血管疾患4位(7.3%)となり、3つ合わせると全体のおよそを占めています(図表Ⅱ 参照)。
また、2021年(令和3年)版厚生労働白書によると、生活習慣病(悪性新生物、心疾患、脳血管疾患、糖尿病、高血圧性疾患)の患者数は約1,786万人にも上ります(図表Ⅲ 参照)。
<図表Ⅱ 主な死因>
厚生労働省「令和3年(2021)人口動態統計月報年計(概数)の概況」より
<図表Ⅲ 生活習慣病患者数(注1)>
厚生労働省「令和3年版厚生労働白書」より
生活習慣病のリスクは30-40代も
生活習慣病の患者数はどの年代、性別に多いのでしょうか?
令和2年患者調査によると、男女別では女性よりも男性の方が患者数は多く、年代別にみると男女いずれも年齢が高くなるほど患者数が増え、70代がピークになっています。グラフを見ると、生活習慣病は高齢期の病気と感じるかもしれませんが、がんの患者数では 、成人男性の場合20代後半には3千人ですが30代前半では6千人に増えおり、2倍になっています。女性の場合も20代後半では4千人のところ30代前半になると1.2万人に増え、3倍になります。高血圧性疾患では、男性の場合20代後半に、女性の場合40代前半に増加が目立ちます。また、生活習慣病の前段階とされるメタボリックシンドロームでは、予備軍も含めると40代男性の50%弱が該当すると言われています。初期症状が現れという生活習慣病の特性を考えると、若いうちから予防に努めたり、いざというときのために備えることも大切でしょう。
<図表Ⅳ 生活習慣病患者数 男性>
<図表Ⅴ 生活習慣病患者数 女性>
厚生労働省「令和2年患者調査」より
とくに経済的な観点では、生活習慣病が進行し、治療や入院、手術などが必要な状態になると、医療費や入院費といった支出が増加します。生命保険文化センターによる「直近の入院時の自己負担費用」の調査では、平均はおよそ21万円。さらに、仕事を休んだり制限したりするため収入減も重なると家計へのダメージは小さくありません。
もしもの場合、お金の心配は最小限にして治療に専念できるよう、保険で備えるのも1つの手段です。生活習慣病に備える保険商品を詳しくみてみましょう。
手厚い保障で生活習慣病に備えられる保険
さまざまな病気に幅広く備えつつ、生活習慣病には手厚い保障を上乗せしておきたい場合には、「医療保険+生活習慣病特約」という組み合わせが有効です。保障対象となる生活習慣病の範囲は保険商品によって異なります(注1)が、概ね「がん」「心疾患」「脳血管疾患」を三大生活習慣病、これに「糖尿病」「高血圧性疾患」「肝疾患」「腎疾患」(膵疾患)を加えて七大(八大)生活習慣病としているケースが多いようです。気になる病気、備えたい病気に合わせて保障対象となる病気の範囲を選ぶとよいでしょう。
<図表Ⅵ 生活習慣病を対象とした特約の範囲例>
ただし、具体的な検討段階では「がん」に上皮内がんが含まれるか、「心疾患」「脳血管疾患」が対象なのか、「急性心筋梗塞(心疾患のひとつ」「脳梗塞(脳血管疾患のひとつ)」のみが対象なのかなど商品によって保障される範囲にため、対象となる病気の範囲を確認し、他商品としっかり比較するようにしましょう。
保障の内容についても商品ごとに特色がありますが、一般的に、がんと診断されたり、それぞれの病気ごとに決められた状態に該当すると、
- 一時金としてまとまったお金を受け取ることができる
- 入院が長引いても、入院給付金の支払限度日数が延長されたり、無制限になる
- 入院給付金が上乗せされる
といったより手厚い内容になっています。入院日数無制限であれば、長期入院に備えられますし、入院給付金の上乗せであれば、入院中の収入減や個室などの差額ベッド代をカバーできます。一時金タイプなら、入院日数にかかわらず決まった金額を受け取れるため、より手厚い保障と言えます。
特約を充実させると安心感が増しますが、その分保険料も増えるため、自分に必要なものを選ぶようにしましょう。
なお、さまざまな病気に幅広く備えるのではなく生活習慣病のみに備えたい人や、既に医療保険には加入している人は、「特定疾病保障保険」や「がん保険」といった対象の疾病だけを保障する単体の保険を検討すると良いでしょう。
(注1)保障対象となる生活習慣病の範囲は保険商品ごとに異なり、また図表Ⅲ掲載の厚生労働白書のものとも異なります。
- ※この記事の情報は2023年3月12日時点
ファイナンシャル・プランナー
國場弥生(くにばやよい)
(株)プラチナ・コンシェルジュ取締役。証券会社勤務後にFPとして独立し、個人相談や雑誌・Web執筆を行っている。All Aboutマネーガイドも務めており、著書に「誰も教えてくれない一生お金に困らないための本 」(エクスナレッジムック)などがある。