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生命保険の値段は?いくらかける?平均保険料や抑えるポイントを徹底解説

# FP監修
# 保険の基礎知識

公開日:2024年12月19日

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生命保険への加入を検討しているけれど、どのくらい保険料がかかるのかわからないという人も多いのではないでしょうか。そんなときは、すでに保険に加入している人がどのくらいの保険料を支払っているのか、その平均額が参考になるでしょう。この記事では、生命保険の保険料について、年代や家族構成、収入別の平均的な金額を紹介したり、保険料が高いなと感じる場合にどのように保険料を抑えればよいか、そのポイントを解説します。

生命保険の保険料の平均は?

すでに生命保険に加入している人がどのくらいの保険料を支払っているのか、その平均的な金額を全体、年代別、収入別、家族構成別に見てみましょう。

生命保険の保険料:全体平均

公益社団法人生命保険文化センターの2021(令和3)年度 生命保険に関する全国実態調査によると、世帯あたりの年間払込保険料は37.1万円となっています。月払いにすると、およそ31,000円ずつ支払っている計算になります。

時系列にみると、2009年の年間払込保険料は45.4万円ですが、2012年には、41.6万円、2015年には38.5万円となり、徐々に減少していることがわかります。保険会社間の競争や企業努力もあり、同じ保障に対する保険料が低下傾向であることや、インターネットのお陰で商品を比較検討しやすくなり、ひとり一人が自分に合ったムダのない保障を得やすくなったことなどが保険料減少の要因のひとつとして考えられます。

<世帯年間払込保険料2009年~2021年>
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資料:公益社団法人生命保険文化センター「2021(令和3)年度 生命保険に関する全国実態調査」よりネオファースト生命作成

保険料の平均は37.1万円ですが、分布をみてみると、12万円未満がもっとも多く、約20%を占めています。続いて「1224万円未満」、「2436万円未満」となっています。

<世帯年間払込保険料の分布>
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資料:公益社団法人生命保険文化センター「2021(令和3)年度 生命保険に関する全国実態調査」よりネオファースト生命作成



生命保険の保険料:年代別

払込保険料を年代別にもみてみましょう。「29歳以下」がもっとも低く21.5万円、年代が上がるとともに保険料も増加する傾向があり、「5559歳」や「6569歳」ではもっとも高く43.6万円となっています。同じ保障に対する保険料は、年齢が高くなるにつれて高額になる傾向があります。これは若い人の方がより健康で、病気や死亡のリスクが少なく、年齢が高くなるほどリスクが上昇するからです。
また、一般的に子どもの独立で大きな保障は不要になるために保障を減らしたり、年金から多くの保険料を支払うのが負担になるため、退職時期に合わせて保険料払い込みを終えたり、満期を設定する人もいます。こうした理由から、70歳以降に支払保険料が下がることが考えられます。 

なお、先ほど全体平均を時系列にみたときには払込保険料が年々減少していましたが、「3539歳」「4044歳」「6569歳」、「7074歳」「90歳以上」では前回(2018年)調査と比べて払込保険料が増加しています。

<世帯主の年齢別年間払込保険料> 
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資料:公益社団法人生命保険文化センター「2021(令和3)年度 生命保険に関する全国実態調査」よりネオファースト生命作成

③生命保険の保険料:収入別

さらに世帯の年収別では、年収が高くなるほど払込保険料も高くなる傾向があります。世帯年収「1,000万円以上」の区分がもっとも高く、57.9万円となっています。

<世帯の年収別年間払込保険料> 
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資料:公益社団法人生命保険文化センター「2021(令和3)年度 生命保険に関する全国実態調査」よりネオファースト生命作成

④生命保険の保険料:家族構成

家族構成別にみると、「夫婦のみ(40歳未満)」はもっとも低く21万円となっています。一方「末子就学終了」の区分では保険料がもっとも高く42.1万円、次いで「末子保育園児・幼稚園児」でも40万円を超えています。

<家族構成別年間払込保険料> 
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資料:公益社団法人生命保険文化センター「2021(令和3)年度 生命保険に関する全国実態調査」よりネオファースト生命作成


例えば、「夫婦のみ(40歳未満)」と「末子乳児」、「末子保育園児・幼稚園児」を比べてみると、「末子乳児」、「末子保育園児・幼稚園児」の方が払込保険料は高いことがわかります。一般的に、夫婦のみの場合よりも、子どもがいる場合の方が必要な保障が大きくなりやすく、その分保険料が高額になる傾向があります。

生命保険の保険料は何で決まる?

加入者が支払う保険料は、将来の保険金支払いのための原資である「純保険料」と保険会社が将来に渡って保険を存続させるための経費である「付加保険料」で構成されています。
純保険料は、年齢や性別、保険金を支払うまでにどのくらいの期間があるかなどを考慮して決められます。例えば死亡保険の場合には、保険料を計算するために使用されるのが「予定死亡率」と「予定利率」です。予定死亡率は、保険加入者が一定期間の内に死亡する確率のことで、予定利率は、加入者が支払った保険料を運用して得られるであろう利益率を指します。これらの確率をもとに純保険料が決められています。 

付加保険料は保険会社の人件費や広告宣伝費、契約の管理、支払いなどにかかる経費がどのくらいかによって決まります。これらの経費の割合を表す「予定事業費率」を使用して付加保険料を計算します。

<死亡保険の保険料の構成イメージ>
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資料:執筆者作成

生命保険の保険料を抑えるポイント

保険はいざというときに生活を守ってくれる不可欠なものではありますが、保険料が高すぎて現在の家計を圧迫してしまうようではいけません。保険料が高くなり過ぎないよう、適性に保つために考えるべき4つのポイントをご紹介します。

必要な保障に絞る

あれもこれも不安なこと全部に備えようとすると、保険料は高額になってしまいます。死亡への備え、病気全般への備え、がんなど特定の病気への備えなど、さまざまな保険商品がありますが、現在の家族の状況や気になる病気に合わせて必要な保障を絞ることで、ムダを減らし保険料をおさえることにつながります。

保険期間を適切に設定する

必要な保障は、一生涯同じとは限りません。例えば、万一のときも子どもの教育費に困らないよう死亡保険で備えるなら、保険期間は一生涯ではなく20年程度と考えられるでしょう。保険期間をむやみに長くするよりは、適切に設定すると保険料をおさえられます。

早目に加入する

年齢が若い人ほど健康で、病気や死亡のリスクが低いため保険に加入しやすく、保険料も安くなります。年齢が高くなると健康状態によっては保険に加入できない、加入できたとしても相対的に高い保険料を支払うことになりかねません。

掛け捨てを選択する

掛け捨て型の保険は、一定の期間内に何事もなければ保険金を受け取ることがありません。何事もなければ、「掛け」た保険料を「捨て」ることになるというネガティブなネーミングですが、保険料をおさえて必要な期間、必要な保障を得ることのできる保険です。保険料の一部を積み立てて運用し、将来の保険金支払いを行う貯蓄型の保険と比べると、掛け捨て型の保険の方が保険料をおさえられます。 

なお、家族の状況は時間とともに変化します。転職や退職、結婚、出産などライフイベントが発生したらその都度見直すようにすれば、以前は必要だったけれど今はもう必要がない備えが見つかり、保険料をおさえられるかもしれません。

まとめ

保険への加入を検討している人の参考となるよう、すでに保険に加入して保険料を支払っている人の平均額を、全体、年代別、収入別、家族構成別などさまざまな視点から紹介しました。全体の平均額は37.1万円でしたが、年代や家族構成別に見てみると、保険料にはバラツキがあります。その理由としては、同じ保障に対する保険料は年齢が上がるにつれて高くなる傾向がある、養う人の数や年齢によって必要な保障が異なるので保険料にも違いが出る、などが挙げられます。ですから、平均的な保険料は参考にしつつ、自分自身の状況に合わせた保障を考えるのがよいでしょう。

また、家計への負担が大きくなりすぎないよう保険料をおさえるためには、「必要な保障に絞る」「保険期間を適切に設定する」「早目に加入する」「掛け捨てを選択する」というポイントがあることも覚えておきましょう。


  • ※※この記事の情報は2024年12月時点
プロフィール

ファイナンシャル・プランナー

國場弥生(くにばやよい)

(株)プラチナ・コンシェルジュ取締役。証券会社勤務後にFPとして独立し、個人相談や雑誌・Web執筆を行っている。All Aboutマネーガイドも務めており、著書に「誰も教えてくれない一生お金に困らないための本 」(エクスナレッジムック)などがある。

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