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終身死亡保険がおすすめなのはどんな人?生命保険料や特徴を解説

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公開日:2024年12月19日

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万が一に備えるために死亡保険を検討しているものの、そもそも死亡保険とはどのような保険なのか、どのような場合に保障されるのか、どのくらいの保障額にしたらよいのか、よくわからない方も多いのではないでしょうか。この記事では、終身死亡保険とはどんなものか、どのような場合に加入するべきなのかをふまえ、終身死亡保険と定期死亡保険の内容や保険料の違い、終身死亡保険の特徴やメリット・デメリット、終身死亡保険に加入した方がいいのはどんな人なのか等について解説します。

死亡保険とは

死亡保険とは、被保険者が死亡、に、指定した受取人が保険金を受け取ることができる保険です。厚生労働省が発表した「令和5年簡易生命表」によると、日本人の平均寿命は男性が81.09歳、女性が87.14歳ですが、自分がいつまで生きることができるかは誰にもわかりません。 

誰もがいつかは死を迎えるものですが、自分が亡くなった場合に遺された家族が生活に困ることのないように、子どもの教育費が不足しないように、また自身の死亡整理金にするためといった理由で死亡保険に加入するのが一般的です。大きく分けると、死亡保険には一生涯の死亡保障を得られる終身死亡保険と、一定期間の保障を手厚くできる定期死亡保険があります。 

終身死亡保険のなかには、支払期間終了後に老後の生活を支える老後資金や介護費用などに活用できる商品もあります。死亡保障だけでなく、貯蓄機能を活かすこともできるのが、終身死亡保険の特徴です。

終身死亡保険のメリット

終身死亡保険は、一生涯の死亡保障を得ることができる保険です。掛け捨てではなく貯蓄性がありますので、途中で解約した場合にも解約返戻金を受け取ることができます。終身死亡保険の主なメリットは3つあります。

【終身死亡保険メリット①】家族にお金を残せる

終身死亡保険は一生涯の保障ですので、家族が確実に保険金を受け取ることができるのがメリットです。一定の期間内の保障である定期保険だと、受け取れない場合もありますので、確実に保険金を受け取れるようにするのなら、終身死亡保険が適しています。 

終身死亡保険では途中で解約しない限りは保険金を受け取れるため、同じ保険金額なら、保険料は一般的に定期死亡保険より高くなります。よって、終身死亡保険では数百万円~数千万円程度の保険金額で契約するのが一般的です。一生涯の保障が続く終身死亡保険だと家族も安心です。

【終身死亡保険メリット②】一定の保険料で保障が一生涯続く

毎月払いの場合、終身死亡保険の保険料は、契約時からずっと変わりません。一定の保険料なので固定費として生活費の中に組み込みやすいといえるでしょう。保険料の支払い方法には有期払いと終身払いがあります。 

有期払いは、一定期間または一定年齢まで支払う方法です。通常は60歳から65歳くらいまでに払い込みを終えますので、その後は保険料の負担が無いのがメリットです。ただし、終身払いより毎月の保険料は高くなります。 

終身払いは一生涯、保険料を支払い続ける方法です。通常、毎月の保険料は有期払いより少ないのですが、長生きすればするほど払い込む保険料の「総額」は多くなります。契約時点ではどのくらい生きるかはわかりませんので、結局どちらの払い込み方法がお得なのかも不明です。よって、保険料は無理なく継続的に払える金額なのか、また働き方や契約した時の年齢などによって払い込み方法を検討するとよいでしょう。

【終身死亡保険メリット③】貯蓄性がある

終身死亡保険は、掛け捨てではなく、貯蓄型保険、積立型保険ともいわれています。つまり、万一への備えを保障しつつ、貯蓄性があるのがメリットです。 

また、商品によっては払込期間後に老後の年金や介護保障、医療保障などに切り替えることができるものもあります。もちろん、そのまま死亡保障として継続することもできます。長期間にわたって保障が続く保険ですから、状況によって選択肢があるというのは掛け捨ての定期保険には無い魅力です。 

また、途中で解約した場合には、解約返戻金を受け取ることができます。よって、教育資金や老後資金などが不足した場合には、解約して必要資金に充てるといった活用方法もあります。 

但し、契約してすぐの場合には解約返戻金が無い場合もありますし、払い込んだ保険料総額より解約返戻金が少なくなる場合もあるので、注意しましょう。また、低解約返戻金型終身保険では、低解約払戻期間中の解約は、解約返戻金が通常の終身死亡保険の解約返戻金の70%程度に抑えられているので、特に注意が必要です。 

また、契約者貸付制度を利用すれば、対象保険の解約返戻金の一定範囲内で貸付けを受けることができますので、解約をする前に契約者貸付制度の利用を検討するとよいでしょう。一般的には、貸付けを受けている期間内でも保障内容は変わりませんし、配当金も支払われます。貸付金と利息相当額を返済すれば、元の保険金額を受け取ることができますが、未返済のまま被保険者が死亡した場合には、貸付金と利息相当額を差し引いた死亡保険金が支払われます。

終身死亡保険のデメリット

終身死亡保険は基本的には解約せずに一生涯の保障を得るために継続していく保険ですので、デメリットといえるものもあります。以下に2つ紹介します。

【終身死亡保険デメリット①】保険料が割高

終身死亡保険には解約返戻金があり貯蓄性があるため、その分掛け捨ての定期死亡保険よりも保険料は高くなります。また、支払い期間も長期にわたるため、毎月の保険料が負担になる場合には、続けることが困難になる可能性があります。無理なく払える保険料になるよう、受け取る保険金額を抑えるなど契約時に考慮する必要があります。

【終身死亡保険デメリット②】保険の見直しに不向き

万一の場合にどのくらいの保障額が必要かはライフステージによって変化するので、定期的に保障額を増額したり減額したりする見直しが必要です。しかし、終身死亡保険は、必ず必要となる死亡整理金などのために加入することが多いため、保険の見直しには向いていません。教育費や生活費がかさむ時期の死亡保障を充実させるには、10年や20年程度の定期保険を上乗せして、保障額を調整する方がよいでしょう。 

終身死亡保険の保障額を減らしたい場合には「減額」という制度があります。減額は、一部解約になるので、解約した部分の解約返戻金があれば受け取ることができます。但し、商品によっては最低必要な保険金額を設定しているため減額ができない場合もあります。

終身死亡保険が向いている人

死亡保険には定期保険と終身保険がありますが、終身死亡保険が向いている人はどんな人なのか紹介します。

死亡整理金を用意したい

万一のことがあった場合、まず必要となるのが葬儀代やお墓代などの死亡整理金です。が実施した第6回お葬式に関する全国調査(2024年)によると、葬儀費用の総額は平均で118.5万円になるとのことです。内訳は下表のとおりです。また、葬儀の種類には一般葬、家族葬、一日葬、直葬などがあり、種類によってかかる費用も異なります。
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*0.1万円のずれは小数点第2位以下の和によるもの
資料:株式会社鎌倉新書「第6回お葬式に関する全国調査(2024年)

また、お墓をこれから準備する場合にはさらにまとまった金額が必要ですので、葬儀代とお墓代を合わせると200万から300万程度のお金がかかるといわれています。このように必ずかかる費用として終身死亡保険で準備するのが適しているでしょう。

貯蓄をしたい

終身死亡保険には貯蓄性があるため、万一の場合への備えを確保しながら、老後資金などのために貯蓄機能を活用したい方に向いています。 

但し、終身死亡保険を解約して、解約返戻金を老後資金などに利用する場合には、払い込んだ保険料総額より解約返戻金が少なくなる場合もあるので注意しましょう。解約返戻金の払戻率を高くするなら、保険料は終身払いではなく有期払いにするとよいでしょう。 

終身死亡保険の中には、払込期間が終了した時点で死亡保障から老後の年金、介護保障、医療保障などへ変更できる商品もありますので、将来の選択肢を増やしたい方は、そのような商品を選ぶ方法もあります。 

また、資産形成も期待できる保険もあります。外貨建て終身死亡保険には、ドル建てやユーロ建て、豪ドル建てなどの保険があり、円建てより高い予定利率で運用できます。保険としての基本的な仕組みは、円建て保険と同じです。但し、為替リスクがありますので、為替変動リスクを理解して加入しましょう。変額終身死亡保険では、保険料を債券や株式等で運用するため解約返戻金や死亡保険金が増減します。死亡保険金には最低保障がありますが、解約返戻金にはありませんので、注意しましょう。

定期死亡保険との比較

死亡保険には一生涯の死亡保障を得られる終身死亡保険と、一定期間の保障を手厚くできる定期死亡保険があります。それぞれの特徴を比較しながら検討しましょう。
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資料:執筆者作成

定期死亡保険は保険料が比較的安い

定期死亡保険は掛け捨てで保険料が比較的安いため、一定期間の保険金額を高く設定できます。そのため、加入時の年齢やライフステージに合わせて必要な保障額や期間を選んで加入するのに適しています。残された家族の生活保障を手厚くしたい時期、教育費がかかる時期などに、終身死亡保険に定期死亡保険を上乗せして加入するとよいでしょう。また、ライフプランを考えて保険の見直しが簡単にできるという特徴もあります。

定期死亡保険は保険解約返戻金がない

定期死亡保険は貯蓄性がなくほとんどの場合解約返戻金がありません。その分保険料が安く、保障額を手厚くすることができます。お子様がいらっしゃる方が、生活費や教育費のかかる期間を手厚く保障するには定期死亡保険が適しているでしょう。貯蓄性のある終身死亡保険とは性質が異なることを押さえておきましょう。

まとめ

終身死亡保険は、一生涯の死亡保障があり、貯蓄性もあるというメリットがあります。死亡整理金などの必ず必要となる資金は終身死亡保険で備え、ライフステージに合わせて一定期間の保障を手厚くしたい場合には、定期死亡保険と組み合わせて利用するのがよいでしょう。死亡保険に加入した後も、必要な保障額が確保できているか、また逆に保障額が多すぎないかといった定期的な見直しは必要です。終身死亡保険は、貯蓄性があるため資産としても活用できますので、今後の資産形成状況によってどう活用するかも検討するとよいでしょう。

  • この記事の情報は2024年12月時点のものです。
プロフィール
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ファイナンシャルプランナー(CFP®)。一級ファイナンシャル・プランニング技能士。

福島佳奈美(ふくしまかなみ)

将来のお金の不安をなくすためには、長期的なライフプランを立てて将来のマネープランを作ることと、日々の家計管理が必要だと実感。保険、住宅ローン、教育費、老後資金準備など、「誰からも教わらなかったけれど生活するうえで必要なお金の知識」を、マネーコラム執筆やセミナー講師、個人相談などを通じて伝えている。

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